住まいのお金・税金

【公認会計士が解説】気になる固定資産税の計算。中古物件を買ったときの精算は?

家を買うと負担が必要な固定資産税

注文住宅を建てようと思うと、土地から探す必要がありますよね。

時には、土地付き建物(中古物件)を買って、建物を解体してから新築の注文住宅を建てることも珍しくありません。僕もそのパターンです。

人気の土地は、更地で売りに出ていることもありますが、中古の建物付きで売りに出ていることが多いです。

恐竜くん
恐竜くん
建て替え用に!とかキャッチフレーズがついている広告もあるよね

家を買うと支払いが必要になる税金が「固定資産税」。

固定資産税は、賃貸マンションに住んでいるうちは、マンションのオーナーが払っているので特に気にしていなかったかもしれませんが、持ち家になると自分の所有する不動産となるため固定資産税を支払う必要があるのです。

固定資産税の計算方法

固定資産税は土地にも建物にもかかります。

どういった計算をされるかというと、

1年間の固定資産税=課税標準額×税率(1.4%)

この分を固定資産税として負担が必要です。

また、その土地や建物が「都市計画区域内」にある場合は、別途「都市計画税」というものもかかってきます。

1年間の都市計画税=課税標準額×税率(上限0.3%)。

都市計画税の負担があるかどうか?については市町村のホームページを見れば掲載されています。

例えば、兵庫県で人気の地域である「西宮市」では、都市計画税が0.3%かかります。

 

 

ペンギンくん
ペンギンくん
都市計画税も基本的に0.3%の負担が必要と思っておいた方がいいかもね。 兵庫県なら、芦屋市、西宮市、宝塚市、伊丹市、尼崎市、神戸市など人気エリアではだいたいかかるからね。

税率をかけるベースとなる課税標準額は、基本的に「固定資産税評価額」と思っておけばOK。固定資産税評価額は、その土地建物の取引目安金額と国が公表している金額(公示価格)の7割ぐらいの金額で設定されていて、毎年5月頃に送られてくる「固定資産税納税通知書」を見れば記載されています。

 

 

恐竜くん
恐竜くん
市役所で見れる「固定資産課税台帳」 に載ってるよ

つまり、その土地建物が広くて人気地域にあればあるほど(値段が高いほど)、固定資産税の負担が増えます。

恐竜くん
恐竜くん
固定資産税の計算で使う「固定資産税評価額」って見直しは行われないの?一生定額?
ペンギンくん
ペンギンくん
いいや、「固定資産税評価額」は3年に1回更新されるよ。人気が上がって地価が上がればその分負担も増えるってことだね。地価があがれば資産価値も増えるから、税負担が増えるからといって一概に悪いこととは言えないよ。
恐竜くん
恐竜くん
それにしても、固定資産税+都市計画税で1.7%も負担するのしんどくない?? 

確かに、年間1.7%の負担は結構辛いですよね。3,000万円の評価額だったとしたら、51万円も払わないといけなくなります。

それでは負担が大きすぎるので、特例措置として「住宅用地の特例措置」として税負担の軽減措置がとられています。

具体的には、対象面積が200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は6分の1に、都市計画税は3分の1に軽減されます。

【固定資産税の軽減】

  • 200㎡以下(小規模住宅用地):課税標準×6分の1
  • 200㎡超(一般住宅用地):課税標準×3分の1

【都市計画税の軽減】

  • 200㎡以下(小規模住宅用地):課税標準×3分の1
  • 200㎡超(一般住宅用地):課税標準×3分の2

 

固定資産税の精算とは?

中古物件を買う時には、「固定資産税の精算」を行うのが通例です。

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に通知がいくので、本来は1月1日時点の所有者に納税義務があります。

でも、1月1日時点の所有者が支払う固定資産税は、その年度1年分の前払いです。

なので、例えば3月に土地を売った売主が4月以降の固定資産税を支払うのはオカシイ!という意見もあり、慣行上は引渡時点で固定資産税の精算が行われるようです。

固定資産税の精算については、売買契約時に契約書と重要事項説明書に明記されているので、内容が間違っていないか、また、明らかに不利な条件になっていないか、チェックしておきましょう。

僕は12月に契約し、3月に引き渡しでした。

恐竜くん
恐竜くん
12月に契約してたら、1月からの固定資産税の負担は免除されないの?
ペンギンくん
ペンギンくん
固定資産税(+都市計画税)の精算を計算する上で起算日(基準日)をいつにするかで変わってくるよ。

ここでポイントとなるのは契約上で明記されている「公租公課の起算日」。

つまり、固定資産税の精算をいつ基準にするか?ということ。関西では、4月1日、関東では1月1日を起算日とするのが一般的のようです。

ちなみに、僕は関西で土地を買ったので4月1日でした。

これがいつになるか、で固定資産税の負担額が変わります。

具体例で説明します。

例)土地建物の売買契約日(契約書日付)が2018年12月20日、引渡日が2019年3月31日、公租公課の起算日が4月1日だった場合。

この場合、2019年1月1日時点では、土地建物の所有者は「売主」です。

そのため、固定資産税の納付義務は売主側にありますので、納税通知書は2019年5月頃に売主に送付されます。

恐竜くん
恐竜くん
じゃぁ売主が全部支払うべきじゃないの?

ただし、この2019年1月1日時点の所有者に通知される納税通知書の対象期間は、2019年1月1日〜2019年12月31日に係る固定資産税です。

つまり、1年分を前払いしているイメージですね。

これを全額売主負担にしてしまうと、売主から不公平だと言われるわけです。

なぜなら、2019年3月31日で所有者が売主から買主に移るので、その時点で土地建物の所有者が買主になるわけです。それ以降の固定資産税は買主が負担してくださいね、というのが固定資産税の精算です。

図で示すとこのようになります。

具体的な流れは、

  1. 納税通知書が売主側に2019年5月頃に届きます。
  2. 売主は不動産会社を通じて、買主に納税通知が来た旨を買主に連絡します。
  3. 買主は負担分を指定の売主口座に振り込み、売主が納税します。

 

※今回のケースの場合、売主の負担は2019年1月1日〜2019年3月30日まで。それ以降の固定資産税(2019年3月31日〜2019年12月31日までの分)は買主負担で支払うことになります。税金を納税するのは、全額売主側です。

家を買ったらこんな感じで固定資産税の負担があるので、覚えておく必要がありますね。

要点まとめ
  • 家を買うと固定資産税の負担が必要
  • 固定資産税の納税義務は毎年1月1日時点の所有者にあり
  • 1年間の固定資産税=課税標準額×税率(1.4%)
  • 1年間の都市計画税=課税標準額×税率(上限0.3%)
  • 固定資産税・都市計画税ともに負担軽減の特例あり
  • 固定資産税評価額の見直しは3年に1回
  • 契約時は「公租公課」の起算日に注意
  • 固定資産税の精算は契約日ではなく、引渡日で決まる
  • わからないことは市町村のホームページに大体載っている